
コロナ禍や人手不足によって働き方やサービスの形態が変化するなかで、サービススタッフ、従業員の行動管理の必要性が高まっています。この記事では、GPSによるスタッフ、従業員の行動管理を導入する企業が増えている背景と、そのメリット、導入にあたっての注意点を分かりやすく解説しています。
GPSによるサービススタッフ、従業員の行動管理とは
GPSによるスタッフ、従業員の行動管理の基本機能とは、衛星測位機能で業務中のスタッフ、従業員の位置情報を取得し、ネットワークに位置情報を送信することです。GPS端末は、車や人に簡単にとりつけることができるので、リアルタイムでスタッフ、従業員の位置確認ができます。
スマートフォンの普及とGPS端末の小型軽量化、クラウド型管理システムの発達によって、営業やデリバリーなど社外で働くスタッフ、従業員のGPSによる行動管理や支援を導入する企業が増えています。また近年は、「バスロケーションシステム」や「タクシー配車アプリ」など、GPSを活用したさまざまな新サービスも登場しています。
スタッフ、従業員の位置管理の重要性が増している背景
企業活動において、GPSによるサービススタッフ、従業員の位置管理の重要性が増しています。その背景には次のような社会情勢があります。
●コロナ禍による対面回避
●人手不足の深刻化と働き方改革の要請
●物価上昇局面での顧客満足度の向上
●DX推進(管理業務の効率化・一元化)
・コロナ禍による対面回避
コロナ禍での対面回避のため、自宅からクライアントを訪問する営業スタイルが多くなり、対面での行動確認ができないケースが増えました。それによって企業は、従来よりもお客様に対する信用を維持することが難しくなっています。
また、外食店やスーパー、コンビニがデリバリーに力を入れるようになり、配達要員の効率的かつ安全な運用管理の重要性が増しています。
・人手不足の深刻化と働き方改革の要請
働き方改革への制度的、社会的要求が強まる一方で、営業スタッフ、従業員・ドライバー・デリバリー要員の不足が深刻化しています。この2つの課題を解決するためには、人材募集だけでなく、スタッフ、従業員運用システムの改善による業務効率化が必須です。
・物価上昇局面での顧客満足度の向上
国際情勢による原油価格の上昇など、近年にはまれな物価上昇局面にあります。消費者のストレスが高まるなかで、企業は価格ではなくサービス面で顧客満足度を高める必要に迫られています。
・DX推進(管理業務の効率化・一元化)
DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進は、経済産業省が「2025年の崖」と表現するほど、あらゆる企業にとって緊急の課題です。その理由は、競争力のカギを握る業務の効率化が、急速に発展したIoTなどのデジタル技術の活用にかかっているからです。2025年までにDXによる「離陸」を成し遂げなかった企業は、競争力を失って崖から墜落すると、経産省は警鐘を鳴らしています。
参考 経済産業省 D Xレポート~IT システム「2025 年の崖」の克服と DX の本格的な展開~ https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_03.pdf
位置追跡による行動管理のメリット
サービススタッフ、従業員の位置追跡による行動管理には、次のようなメリットがあります。
1. 社外にいるスタッフ、従業員に迅速な指示・支援が可能になり、業務が効率化する
GPSによる位置の追跡によって、ルートのアドバイス、事故対応などの指示・支援を迅速、的確に行うことができます。それによって業務が効率化し、働き方改革にも貢献します。
2. お問い合わせへの即時対応で顧客満足度が向上する
顧客からの配達状況のお問い合わせやクレームに即時対応が可能になり、顧客満足度が向上し、企業への信頼感が増します。
3. サービススタッフ、従業員の非効率な動きや無駄なコストを減らせる
GPSによる位置の追跡で、現在の位置だけでなく、移動経路や停止した時間が把握できます。それによって外回りのスタッフ、従業員の無駄な動きや無駄なコストを減らすことが可能です。
4. 勤務時間の把握が簡単になり、直行・直帰が可能になる
位置追跡の履歴を確認することで、外回りスタッフ、従業員の労働時間を簡単に計算でき、直行・直帰も管理しやすくなります。
5. 一括管理によって管理コストが削減される
営業スタッフ、従業員や配送車の位置をパソコンで一括管理できるので、管理スタッフ、従業員の削減などによるコストダウンが可能です。また、業務日誌の簡略化が可能になるので、スタッフ、従業員側も管理側も業務負担が軽減します。
6. スタッフ、従業員の戦略的配置が可能になる
全スタッフ、従業員の動きをリアルタイムに把握できるので、営業プロモーション期間の特別展開などの戦略的配置が可能です。
7. 災害時の安否確認に利用できる
大規模な自然災害が発生した場合、携帯電話の音声回線など通信が繋がりにくくなります。
だれがどの場所で被災したのか分かることは、被災者の安否確認に有効な手がかりとなります。
GPSで社員の行動を管理する際の注意点
GPSで社員の行動を管理するときは、社員のプライバシーの侵害に当たらないように注意する必要があります。そのためには、下記の点に注意が必要です。
●GPSによる行動管理を業務時間内に限定する
●行動管理の目的を業務管理に限定する
●行動管理の目的を社員によく説明して納得を得る
●就業規則に明記し、社員に使用範囲や目的をよく説明するなどで、プライバシーへの配慮を示す
また、GPSでの行動管理を導入すると正確な労働時間が分かるので「みなし労働時間制」を適用できなくなります。
GPSによって位置情報を把握しているにもかかわらず、事業場外労働のみなし労働時間制を適用していると、残業代の支払いを請求される可能性があります。
まとめ
サービススタッフ、従業員のGPS管理のメリットを活用して、業務効率化や顧客満足度の向上を実現しましょう。GPSによる社員の行動管理を導入・運用する際は、プライバシーの侵害にあたらないように注意が必要です。