
GPSトラッカーは現在、介護業界、運送業界、建設業界などの様々な場所で利用されています。それらの業界に限らず、人の位置や車の移動ルート、物の位置を見える化することがリスク管理や業務効率化に繋がるので、多様な使い方が広まってきています。数センチメートル以内のずれに抑えることのできる高い位置精度のGPSトラッカーが、介護業界などの様々な現場でどのように活用されているのかを紹介していきます。
介護業界で人を危険から守るGPSトラッカー
GPSトラッカーは介護の現場で大きな役割を果たしています。ケースとして多いのは要介護者の位置情報管理です。認知症やアルツハイマーを持った方が無断で外出し、いつまでも戻らずに家族や介護施設スタッフが心配するというケースはよくあることです。いつまでも帰ってこなかったり事故や事件に巻き込まれたりという可能性もありえます。要介護者の徘徊は日常的に起こる問題であることから、介護スタッフや家族が常に居場所を管理するために持ち歩かせる事例が増えています。
いわゆる見える化を可能にしたGPSトラッカーですが、高性能のものは高い位置精度技術を備え、数センチ単位のズレを認識することもできます。この精度の高さや利便性は、他業界にも様々な方法で活用することができます。
運送業界では時間の業務効率化に役立っている
離れた場所から人や物の位置を把握できるようになるということは、業務の仕方も新しく変化していきます。例えば運送業界では、位置情報サービスを活用することが業務効率化に繋がります。実際に運送用トラックにGPSトラッカーを設置している会社もあります。配送スケジュールがシビアな運送業にとって、配送場所が分からない、ルートが定まっていないという事態は大きなタイムロスに繋がります。
GPSトラッカーのない環境では、ドライバーの経験値や頭の中に入っている地図の知識量などが業務の早さに大きく影響します。そのため、ベテランドライバーは30分で片づけられる仕事量なのに新人ドライバーは1時間も掛かってしまう、ということが起こっても不思議なことではありません。これではドライバーによって仕事量にも作業時間にも差が生まれてしまいます。もし給料が同じだとしたら、とても不公平な状況ですよね。
しかし、GPSトラッカーを各運送用トラックに設置すると、ドライバー間の経験や知識量による業務効率の差が縮まります。GPSトラッカーによってトラックの位置や配送先を見える化することにより、ドライバーは配送手配スタッフと位置情報を共有できるようになります。するとまだ慣れていない新人ドライバーにも、どのルートが近道なのか、どの配送順が効率的なのかなどをGPS自体が的確に案内するため、配送手配スタッフが指示を伝えやすくなります。
位置情報サービスの活用は運送業界では、主に配送スケジュール面で業務効率化に繋がりやすく、特に経験の浅いドライバーには大幅な時間短縮が見込めます。
GPSトラッカーは営業成績の分析や安全リスクの管理にも活躍
運送業のトラックとは別の目的で車両にGPSトラッカーを設置する事例もあります。業界かかわらず、営業車に設置したり営業担当に持ち歩いたりしてもらう場合があります。ここで紹介する目的は2つです。1つは営業成績の分析に利用するため、2つ目は安全リスク管理を行うためです。
位置情報の把握と営業成績は一見、あまり関連がなさそうに感じますよね。しかし、GPSトラッカーを活用することで営業担当の1日の訪問先や営業ルート、営業先に掛けている時間などのデータが収集できるようになります。営業は営業担当それぞれのスタイルがあるので、時間の掛け方にも特徴が表れやすくなります。
具体的には、営業成績の良い人と営業成績の悪い人の行動パターンをGPSトラッカーのデータから比較することも可能になります。各営業担当の行動の分析から、業務効率の良い営業のやり方が見えてきて会社の利益向上へと繋がる、そんな位置情報のサービスの活用方法も期待できます。
企業としてGPSトラッカーを活用できる2つ目の目的は安全リスク管理です。会社として従業員や物の位置情報を管理していることがリスクを回避することに繋がります。営業担当者に限ったことではありませんが、外勤をする従業員が外で何かしらのアクシデントに遭遇した時、いち早く異変に気付くことができたり、臨機応変な対応を行ったりすることができます。
想定することができるリスクとして挙げられるのは、外出中の事故です。外勤中の従業員がいつまでも同じ場所から移動しないと、管理している立場側として不審に思います。もし従業員側から自力で連絡が取れない状況の場合、異変に気付いて早い対応に移すことができます。
また、他に考えられるリスクとしては営業車や貴重品の窃盗です。業務効率化だけではなく、防犯目的としてGPSトラッカーを活用するメリットもあります。
社員の信頼を失わないために伝えるべきこと
GPSトラッカーを導入する場合、従業員の誤解を生まないためにも利用目的を通達することは管理者として行わなければなりません。位置情報の共有は、「監視されている」という意識が働くため、不快に感じる従業員も現れます。目的を伝えておかないと、「もしかすると会社から信頼されていないのではないか」と疑心暗鬼に陥り、会社に対する信頼が失われていく可能性もあります。
GPSトラッカーを会社として導入する場合、従業員が納得できる利用目的を伝えることは大切です。信頼関係に関わることなので注意しておきましょう。
高性能位置精度のGPSトラッカーで実現する「見える化」が業務効率化を促進する
様々な目的で利用されているGPSトラッカーについて紹介しました。徘徊する要介護者の位置情報を把握する目的以外にも、見える化が色々な形で役に立ち業務効率化へ繋げることが出来ます。活用の仕方次第で、社員の業務量格差を埋めることができたり、営業成績の分析を行ったりすることもできます。位置精度の高いGPSトラッカーは新しい可能性が広がっています。