
2021年時点で日本人口の約30%が65歳以上の高齢者であるという統計結果が出ています。自分の両親や義父母と生活を共にしているという人も多いのではないでしょうか。高齢者の家族が1人で外出する際は心配が付き物ですよね。そんな時に役立つのがGPSを利用した高齢者見守りシステムです。本稿ではGPSによる高齢者見守りについて紹介します。
GPSの見守りシステムは何が出来る?
高齢者を見守るための製品は様々なものが市販されていますが、主流となっているのはGPSを搭載した位置管理タイプと言えるでしょう。このタイプの製品では位置情報を送信するためのGPS端末を高齢者が持ち歩く事で、家族が現在地をスマホでチェック出来るようになります。操作方法や設定はかんたんな仕様になっている製品が多いので、IT機器の取り扱いが苦手な場合でも心配ありません。衛星情報を基にしているため正確な位置精度を把握可能です。情報技術を駆使したIoT機器は様々な分野で開発が進められていますが、この高齢者見守りシステムもその1つであると言えます。
一般的にGPSの見守りシステムには大きく分けて「エリア通知」「移動履歴確認」「位置情報更新」という3つの機能が備わっています。エリア通知とは前もって特定の場所の位置情報を端末に登録しておく事で、そのエリアに到着した際にスマホへ通知が配信される機能です。デイサービスや趣味教室など、高齢の家族が習慣的に通っている施設に無事到着している事が確認出来ます。
移動履歴確認は持ち歩いたGPS端末がどのようなルートで移動したのかを記録しておくものであり、後からスマホで詳しいデータ参照が可能です。家族に徘徊癖がある場合は万が一の時に足取りを追いやすくなるので安心と言えるでしょう。位置情報更新とはスマホからリアルタイムで端末の位置情報を確認出来る仕様のものです。比較的症状が重めの認知症を患っている場合に利用される傾向があります。
メリットとデメリット
見守りシステムは家族側がスマホ1つで高齢者の位置を確認出来る手軽さが大きなメリットです。高齢者が行方不明になってしまった場合、事態をいち早く察知する事が重要になります。いつもならエリアに到着している時間を過ぎても通知が届かない場合はすぐに気が付けるので、電話やSMSで連絡を取るといった手段を迅速に講じる事が出来るのです。小型化されたGPSデバイスはカバンの中でかさばってしまう心配もなく、製品によってはストラップ型になっているなど持ち運びやすいように工夫が凝らされています。
一方、人によってはGPSで位置情報を管理される事をプライバシーの侵害だと感じる場合もあるので、見守りシステムを家族で活用するには各人の理解や協力が必要になります。特にGPS端末を持ち歩く当人とはよく話し合っておく事が重要です。また、GPS端末は基本的に充電式になっているため、適宜状態を確認して充電する必要がある点にも注意しておきましょう。長時間タイプのバッテリーを搭載している製品であれば、フル充電の状態から1ヶ月弱利用可能とされています。ただし、バッテリーの状態は利用環境によっては劣化が早くなるため、メーカーが公表している時間よりも少し短めに見積もっておくのがおすすめです。
何を基準に選べば良い?
見守りシステムを選ぶポイントとしては、まず「位置情報をどのように確認したいか」という点が挙げられます。位置情報の追跡には大きく分けてリアルタイムで追跡し続ける「自動追跡型」と、任意のタイミングで現在地を検索する「手動検索型」の2種類があるので覚えておきましょう。前者は細かくルートを記録出来るため徘徊癖が強い高齢者の見守りに適しており、頻繁に位置情報を確認したい場合におすすめです。後者はあくまで緊急用という側面が大きいため高齢者の帰りが遅くなる事が多い、あるいは遠出する機会が多いといったケースに向いています。
見守りシステムの支払い方法は一般的に「買い切り型」と「月額型」の2パターンになっているため、利用頻度やお財布と相談しながらコストパフォーマンスの良い製品を選んでみてください。機能や性能によって金額は上下しますが買い切り型は5000~1万円前後、月額型であれば月々500円前後が一般的な相場です。端末のサイズやデザインについても気を配って選んでみると良いでしょう。小型でスリムな製品は持ち運びに便利ですが、裏を返せば紛失リスクが高まるとも言えます。認知症の場合は気に入らないものを捨ててしまう場合もあるので、本人の趣味嗜好に合わせてあげるというのも大切です。サポートセンターによるフォローやAI機能搭載など、様々な機能が付加されている製品も多いので目的や用途に応じて必要なものをチョイスしましょう。
GPSによる見守りシステムで高齢者との暮らしに安心を
GPSを活用した高齢者見守りシステムは、介護負担の大きい現代日本において需要の高いサービスとなっています。一般家庭でもかんたんに導入する事が出来るので、高齢者家族の見守りに悩んでいる場合は積極的に活用してみましょう。その際は一方的に押し付けるのではなく、事前に相談して理解を得るのがベターです。GPSを上手に利用して日々の暮らしにおける安心感を高めてみてください。