
「フリートマネジメント」とは、企業の保有車両や建機などの運用を最適化し、効率的に管理することを指します。
建設業界でIoT/ICTを活用することで、残土処理問題の解決や産業廃棄物マニフェストの遵守向上に貢献できます。
2021年7月3日に発生した熱海市伊豆山土石流災害では、違法盛土(残土)の崩壊が原因と言われ、現在、盛土(残土)規制の大幅強化へと発展しております。そういった事故が2度と起きないよう、既定の廃棄場へ廃棄されているのか全国総点検をしておりますが、エビデンスが残っていない場合が多く確認が困難な状況です。
また、直接規制する法律がないことで対策の限界が浮き彫りになってきています。※
建設業界では、残土の中身によって、産業廃棄物マニフェストの適用範囲が決まります。
混入物の有無などにより、産業廃棄物に分類されるか否かが決まります。
純粋な土や砂などの汚染物質が混入していない場合、マニフェストの適用範囲外となりますが、紙くずや金属くずなどが混入している場合、その混入物を取り除かなければ産業廃棄物として扱われ、マニフェストが必要となります。
※クローズアップ現代、盛り土“無法地帯”広がる崩落リスク、2024年1月15日、https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4585/
課題

残土の不適切な処理は、土砂災害の発生リスクを含みます。
過去15年間で、大都市周辺部を中心に14件の崩落事故が発生し、その原因として建設残土が指摘されています。※※
しかし、建設残土は混入物が無い場合、法的には廃棄物ではないとされているため、不適切な処理を助長する一因となっています。
対策として、建設残土の問題が発生した自治体は「残土条例」を制定するなどしてきましたが、悪質な埋め立てや無責任に放置する業者に対する実効性には疑問が残ります。
これらの課題を解決するためには、さらなる規制の強化や、自治体、国のレベルでの対策の強化が求められています
※※国土交通省、建設発生土の取り扱いに関わる実務担当者のための参考資料(国・地方公共団体等内部用)、2024年1月15日、https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/region/recycle/d11pdf/recyclehou/sankou/hasseido_sankou.pdf
IoT/ICTサービスを活用するメリット

フリートマネジメントにおいて、IoT/ICTを活用することにより、マニフェストや条例の適応に関わらず、廃棄の運搬ルートなどをトラッキング管理することが出来ます。残土廃棄を可視化し、ルート最適化や運搬スケジュールの管理、記録の自動化など、働き方改革にも役立つメリットがあります。
具体的なメリットは以下の通り6つあります。
- 1.廃棄物のトラッキングと管理
廃棄物の種類、量、処理場所の情報を追跡し、適切な処理が行われていることを確認します。 - 2.廃棄物運搬ルートの最適化
GPSトラッキングを使用して、運搬ルートを最適化し、燃料消費と運搬時間を削減します。 - 3.リアルタイム追跡とスケジュール管理
運搬車両のリアルタイム位置情報を提供し、スケジュール管理を正確に行います。 - 4.運搬記録の自動化と報告
運搬車両の走行距離、経路、停車地点などのデータを自動的に記録し、マニフェスト報告に利用できます。 - 5.環境への影響の軽減
効率的な運搬ルートの選定により、燃料消費とCO2排出量を削減し、環境への影響を軽減します。 - 6.コンプライアンスと安全性の確保
運搬車両の運行データを使用して、法規制の遵守を保証します。
最後に
本コラムでは、建設業界におけるフリートマネジメントの重要性と残土管理への活用をご紹介しました。
IoT/ICTの活用により、業務の効率化、コスト削減、そして環境負荷の軽減を実現することが可能です。
位置情報や積算移動距離のAPI連携も対応可能です。
IoTBankのGPSトラッカーを活用したフリートマネジメントにご興味がある方は、お気軽にお問い合わせください。
【事例イメージ】
