2022/04/04

建設ソリューション



GPSを活用して現場機械の位置管理を行う際の注意点

位置情報管理システムであるGPSを導入すれば、重機を始めとした現場機械の位置を把握することができます。そして、その位置情報があれば、機械の効率的な移動や、重大な事故の防止などが可能となります。ただ、現場機械の位置把握にGPSを取り入れる際には、注意しなければならないことがあります。その注意点について解説していきます。

機械の位置把握ができるGPS


広い現場で複数の機械を使用する場合、全ての機械の位置を把握するのは非常に大変です。特に、同じタイプの機械が複数ある場合は、近くで確認しないと判別が付かないことは珍しくありません。そして、工事現場や倉庫などで使用する重機には、特定の目的のみに使用したり、専用の荷物を扱ったりするものもあります。そのため、同じタイプの機械を使い回しできるとは限りません。

そのような時に活用できるのがGPSで、人工衛星から届く電波を、機械に取り付けておいたGPS受信機で受ける形で位置を特定します。受信機は個別の識別番号が割り振られているため、同じタイプの機械に取り付けたとしても、それぞれを区別できます。そして、その位置情報は、管理するコンピュータ側で全て把握可能です。また、機械と人の両方が同時に働いている現場であれば、事故が発生するリスクがあります。その事故も、GPSを活用することで未然に防ぐことができます。機械に取り付けてあるGPSと人が持ち歩いている端末が近くなったら、警告できるシステムを導入する形です。

精度の高いGPSを導入すること


重機の位置情報管理のためにGPSを使用する場合、精度が非常に重要です。特に事故防止のために用いる場合は人と機械、あるいは機械同士が接触しそうになった時に、素早く警告を出せなければなりません。しかし、GPSの精度が悪ければ、接触する直前にならないと警告を出さなかったり、接触しても警告が出せなかったりする恐れがあります。そのようなことにならないために、数cm単位での誤差で済むほどの精度が求められます。

GPSの精度は製品によって差があり、中には数m単位での誤差が出るものもあります。機械の位置情報管理のためには汎用タイプのGPSを使用するという手もありますが、汎用タイプでは精度に不安が残ります。そのため、なるべく重機の位置情報管理に特化したGPSを導入した方が良いです。重機専用であれば、安全性のことを考慮してあるものがほとんどで精度も高いです。中には中継機となり、誤差を補足してくれるゾーンレーザを導入することで、誤差をほとんどなくせる製品もあります。

また、GPSには縦横の位置情報だけでなく、高さの情報もまとめて把握できるものがあります。それを活用すれば、高さ制限がある場所をあらかじめ登録しておいて、背が高い重機が通ることができるルートを作成することも難しくありません。ただ、その高さ情報はどのGPSでも管理できるわけではなく、専用の端末やシステムが必要です。もし、高さ情報の活用を考えるのであれば、対応したGPSを選ぶようにしましょう。

GPSに対応した周辺機器が必要


現場機械の位置把握でGPSを使用する場合、管理するコンピュータと機械の台数分の受信機があれば、まずは問題ありません。しかしそれだけでは、ただ機械の位置が把握できるようになっただけです。もし、位置情報を確認しながら機械をリアルタイムで移動させるのであれば、連絡手段が必要です。重機にGPS端末を取り付ける際に、連絡手段に関する設備も設置した方が良いです。また、人が機械と同じ場所で働くのであれば、その人に持たせる専用端末も必要です。

広い範囲で使用する重機であれば、無線を始めとする連絡手段が搭載されているはずです。しかし、人と重機が接触しそうになるような緊急時には、一瞬の判断が命取りです。そのような時に無線だけの連絡では、間に合わない恐れがあります。したがって、専用の警告ランプやアラームなど、緊急時にのみGPSと連動する機器も導入しておいた方が無難です。

GPSシステムそのものの使いやすさも重要


現場機械の位置管理のためにGPSを取り入れる場合、何らかのシステムを導入することとなりますが、そのシステムの使いやすさも重視しなければなりません。GPSは専門性の高い分野であるため、ただシステムを導入しても、管理担当者が使いこなせるようになるとは限らないからです。導入してからなるべくすぐに活用できるように、操作が簡単なものを選びましょう。さらに、必要のない機能まで覚えるとなると、時間がかかります。したがって、必要最低限の機能のみが搭載されたGPSを選択することも大切です。また、緊急時には、複雑な操作をしている余裕はありません。そのため、ボタンひとつで警告が出せるような、わかりやすいシステムがあった方が良いです。

正しく使用できるものを選ぶ


GPSで現場の位置情報管理を行うと、目視で重機の位置を確認する必要がなくなり、事故が発生するリスクも大幅に減らせます。しかし、それはあくまでも、必要な機材を揃えた上で、精度の高いシステムを使いこなした場合です。したがって、精度の悪いものを導入したり、機材が足りないという状況になったりしないよう注意しましょう。

GPSを活用して現場機械の位置管理を行う際の注意点